第50章 後ろ盾

桜井夫人は拳をぎゅっと握りしめ、しつこく食い下がる有岡里穂を怒鳴りつけるように睨んだ。

「で、何がしたいの? 慰謝料?」

そう言うや否や、ハンドバッグから小切手の束を取り出し、さらさらと数字を書き連ねる。

ビリッ、と一枚ちぎり、人差し指に挟んで里穂の目の前へ突き出した。

「100万。被害者に」

有岡里穂はその小切手を一瞥すらせず、氷のような声で言い放つ。

「いりません。警察に届けます。今回、美愛が運よく助かっただけ。そうじゃなかったら、桜井彩乃は殺人犯です」

その言葉に、桜井夫人の顔色がさっと変わった。彼女は有岡哲哉へ視線を投げ、両家の会社の関係を盾にするように口を開く。

「...

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